【2018年】中央大学が発表していた全面禁煙が延期された件。大学全面禁煙の是非。

学び

学生の「喫煙権」と「嫌煙権」との利益衡量

違憲審査基準による「喫煙権」と「嫌煙権」の裁量

せっかく法学部の学生なので、法的に考えてみましょう。

対立する二者間に於ける法律問題を解決する際にはしばしば「利益衡量(りえき こうりょう)」が検討されます。

喫煙者である学生には喫煙する自由である「喫煙権」が、非喫煙者である学生には副流煙による受動喫煙を受けない「嫌煙権」が保障される、と考えます(実際の判例であるか、は置いておいて、そう仮定します)。

喫煙することは喫煙者にとって幸福である(はず)なので基本的人権のひとつ、憲法13条に規定されている「幸福追求権」が保障されます。受動喫煙を避けたい非喫煙者にとっては「健康で文化的な最低限度の生活」が保障された憲法25条の「生存権」が主張出来るはずです。

本件は憲法問題であるため、「違憲審査基準Wikipedia)」によって判別するのがよさそうです。

両者の「制限目的」

違憲審査においては「制限目的が合理的か」、そして「制限手段が合理的か」によって裁量されます。そこで、それぞれの「制限目的」を例示してみましょう。

  制限目的
喫煙権 非喫煙者・喫煙者両者の受動喫煙の防止(生存権の保障)
嫌煙権 喫煙者の喫煙のため(幸福追求権の保障)

……みなさんは、どちらが合理的だと考えますか?

両者の「制限手段」

次に、両者の「制限手段」を検討してみます。

  • 敷地内全面禁煙(中央大学など)
  • 完全分煙、喫煙所設置(その他都内主要大学など)
  • 敷地内全面喫煙可(実施なし)

もっとも合理的なのはどの制限手段でしょうか。

法的にもっとも合理的なのは「完全分煙」の推進である

以上の利益衡量によって、喫煙者にとっても非喫煙者・嫌煙者にとっても合理的であるのは受動喫煙を防止した「完全分煙」であると考えられました(もっとも、人によって判断は変わると考えられますが)。

憲法を尊重した、効果的な受動喫煙防止策は以下のようになります。

喫煙所は人通りの少ない場所(敷地端など)に設置し、排煙設備を整える。

もちろん、多くの大学や施設ではこのような設備が整えられていると考えます。実際に中央大学のすぐ隣りにある私立大学「明星(めいせい)大学」では喫煙所はガラスで仕切られ整備されています。しかし中央大学では、比較的学生の通る野外に、完全な仕切りもなく置かれています。苦情が出て当然でしょう。

「法科の中央」を謳う中央大学。しかし運営において法的・合理的な裁量が為されていない現実があるようです。

筆者は一学生として、適切な学校運営がされること、そして喫煙者・非喫煙者ともに快適なキャンパスライフが送れることを切に願います。